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大阪高等裁判所 平成4年(ラ)210号 決定 1993年2月09日

抗告人 乙山春子 外3名

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人らの負担とする。

理由

1  本件抗告の趣旨は、「1 原審判を取り消す。2 本件を神戸家庭裁判所尼崎支部に差し戻す。」というものであり、その理由は、別紙記載のとおりである。

2  当裁判所の判断

抗告人らの本件相続財産分与の申立てに対する当裁判所の認定判断は、次のとおり改めるほかは、原審判中抗告人らに関する理由説示のとおりであるから、これを引用する。

原審判5枚目裏6行目の「財産分与」から同6枚目表3行目の「ものではない)。」までを「特別縁故者の地位は、相続における相続人のように、一定の身分の存在によって当然に生じる権利ではなく、所定の期間内に相続財産分与の申立てをした者に限って財産分与の審判をし、その者について初めて財産分与の権利が形成されるものである。したがって、所定の期間内に申立てをしなかった者については、財産分与を受ける資格が生じないというべきである。そして、申立人が複数の場合には、申立ての適法要件を各申立人ごとに個別に判断すべきであって、一部の申立人の申立てが申立期間内の適法なものであっても、他の申立人の申立てが期間経過後のものであれば、その申立人の申立ては不適法であるというほかはない。

また、いうまでもなく、相続人が存在しない場合の相続財産は、上記申立期間を経過することによって当然に国庫に帰属するものではなく、相続人財産管理人が清算手続を経たのち国庫に引き継いだときに国庫に帰属するものであって、申立期間はこれを当然の前提として設けられたものであるから、相続財産が未だ国庫に帰属していないからといって、申立期間経過後に相続財産分与の申立てができるというものではない。そして、他に抗告人らについて本件申立てを適法とすべき事由はない。」と改める。

抗告人らは、当審において、原審判は憲法に違反する旨主張するけれども、独自の見解であって採用できない。

以上によれば、抗告人らの本件相続財産分与申立てを不適法として却下した原審判は相当であって、本件抗告は理由がないからこれを棄却し、抗告費用は抗告人らに負担させることとして、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 宮地英雄 裁判官 山崎末記 富田守勝)

別紙<省略>

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